【予土線】地域になくてはならない鉄道

四万十町のこと

こんにちは。今年の春は色んな事がありすぎてあっという間に過ぎてしまいました。

さて、EkimaehouseSamaruという名にもあるように私の宿は駅の前にあります。と、いうか「駅から徒歩10秒」とフライヤーにも書いてあるように駅からの近さを売りにしている面もあり、ゲストさんへの道案内も「駅に来て下さい」といいますし、ゲストさんからは「まさかここまで駅前だとは思わなかった」と言われたりもします。

そんな私の宿の最寄り駅は「JR土佐大正駅」。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

伊予(愛媛県)と土佐(高知)を結ぶJR予土線を構成する20の駅の内の一つです。今回はそんな予土線について書いてみたいと思います。

【予土線の歴史】

予土線が全線開通したのは昭和49年3月1日。高知県の江川崎駅(西土佐)から若井駅(四万十町)が開通したことで全線開通しました。

今年で46年を迎えた比較的新しい路線ですが、計画を含め、全線開通までには長い年月がかかっています。

大正町の歴史が書かれた「大正町史」によると、鉄道の誘致活動が始まったのは明治42年(1909年)のことです。その思いが結実したのは昭和34年。着工まで実に50年近くかかっています。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

しかし、やっとの思いで着工したものの家地川付近まで工事が進んだ地点である問題が発生します。

「大正ダム問題」

この頃四万十川にダムを作ろうという計画が出ていました。もしダムができた場合、線路予定地のほとんどが水没してしまうという問題が出てきたのです。この問題に当時の住民はダム建設反対という判断をとりました。町をあげての反対運動で昭和37年にダム建設計画は中止となり、昭和39年に鉄道工事は再開されることになりました。

予土線全線開通は途中工事中断などの紆余曲折があったものの昭和49年3月、誘致活動から半世紀の時を経て全線開通することになったのです。

【1000円で100円を稼ぐ】

2019年、JR予土線を運営するJR四国から驚くべき情報が公表されました。

公表されたのは、JR四国管内18線区の営業係数です。その中でJR予土線の営業係数(2013年度~2017年度の平均)は1159。営業係数100を超えると赤字だといわれている中で1159というのはJR四国の中でも突出して悪い数字でした。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

営業係数1159ということは100円稼ぐための経費が1159円かかるということです。走れば走るほど予土線は赤字が続くという恐るべき状態です。

因みにちょっと調べてみたのですが、私の宿の最寄り駅JR土佐大正駅の一日の利用客数は1日約60人(2015年)。日本で一番多いといわれる東京の新宿駅は約153万人(2018年)ですからその人の少なさがわかります。

そんな厳しい状況が続いている予土線。正直いつ廃線になってもおかしくない苦境に立たされています。

【頑張る予土線】

いつどうなってもおかしくない予土線ですが、そんな状況を打開すべく様々な経営努力を行っています。

その代表が「予土線3兄弟」です。

予土線3兄弟とは、予土線を走っている3つの観光列車のことを言います。長男「しまんトロッコ」、次男「海洋堂ホビートレイン」、三男「鉄道ホビートレイン」です。

長男:「しまんトロッコ」

JRとしては初のトロッコ、清流しまんと号が走ったのは1984年。今から約30年前旧国鉄時代のことです。今では全国各地でトロッコ列車が走っていますがその先駆けがこの予土線から始まっています。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

現在の車両は2代目。トロッコ部分はトラ45000形貨車、駆動部分はキハ54を使用。デザインはJR九州のななつ星のデザインも手掛けた水戸岡さんが担当し2013年から走っています。

次男:「海洋堂ホビートレイン」

車両はキハ32。四万十町にある海洋堂ホビー館四万十とのコラボ列車で2011年から運行しています。数年に一度リニューアルを行い、現在の「かっぱうようよ号」で3代目となります。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

三男:「鉄道ホビートレイン」

車両はキハ32。予土線40周年を記念して2014年3月から運行しています。0系新幹線をモチーフにしており、車内にはNゲージや本物の0系新幹線で使われていた座席などもあります。鉄道ファンの方からも人気で年間通じて写真を撮りに来る方も多いです。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

「予土線3兄弟連結企画」

2014年。予土線開通40周年を記念して、予土線3兄弟が連結して予土線を走るという企画がありました。そこから毎年のように3兄弟連結イベントが開催されています。連結イベント実施日は毎年違いますし、やるかどうかも未定ですが、今のところ毎年行われており、その日は予土線沿いに多くの鉄道ファンがカメラを持って待ち構えています。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

 

この他にも、予土線サポータや、予土線川柳。予土線珍百景など様々なユニーク企画を実施して予土線ファンを増やしています。

【地域にとってなくてはならないもの】

予土線をとりまく現状はとても厳しいものがあります。今年も減便されましたし、年々廃線という現実に近付いている恐怖もあります。

しかし、線路の存在は地域にとって非常に大きなものがあります。

車社会とはいえ、高校生の通学や車を持たない高齢者の足として非常に重要です。

この町全体が1つの宿|四万十町ゲストハウス「Ekimaehouse SAMARU」

なにより、こんな田舎からでもレール1本で東京に繋がっているというのがとても大きいと僕は思っています。

とはいえJR四国さんにとっても利益を追求しないわけにはいきません。JR四国さんにも頑張ってもらいながら、最終的には地域が頑張って予土線を守っていくことが大切だと思います。

一日60人しかこない駅でも、線路1本で153万人が利用する新宿駅に繋がっている。都会とのつながりを感じられるそんな場所であってほしいと思います。

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